もう迷わない!特性から考えるエンジンオイルの「最適な選び方」

自動車

車に興味を持ちはじめると、次第にエンジンオイルにもこだわりたいと考えるようになる方は多いのではないでしょうか。
カー用品店やホームセンターなどでエンジンオイルを選ぶ際、以下のような点で「どれを買えばいいのか迷ってしまう」という声を聞くことがあります。

  • オイルブランドの種類が多すぎてどれを選べばいいの?
  • API:SN、API:SPって何?
  • 0w-20や5w-30などの粘度はどれを選べばいいの?
  • 高いオイルと安いオイルと何が違うの?          など

しかし、安心してください。
私は、10年間オイルメーカーに勤務していました。
その経験を基に規格や粘度選定はもちろん、エンジンオイルが持つ特性の側面から最適なオイル選びをお手伝いします。

カタログの商品情報はどのメーカーも似たような説明が書いてあります。
オイルの特性を理解すれば、そういった情報に惑わされることがなくなります。
「エンジンにとって本当に大切な性能は何か」が分かり、自分の車に合った最適なエンジンオイルを選ぶことができるようになります。

エンジンオイルを理解するための3つのポイント

1.エンジンオイルに含まれる添加剤は温度(油温)の影響を受ける

オイルに含まれる有機モリブデンなどの添加剤は、80度以上の油温にならないと摩擦低減効果が期待できません。
また、エンジンを止めた後に結露が生じる場合があり、オイルに水分が混入します。
80度以下の低油温域での走行条件では、この水分は蒸発しにくい傾向にあります。

2.短距離走行、ハイブリッド車、アイドリングストップ車の問題点

  • 短距離走行(ちょい乗り)・・・片道8km以下の走行。エンジンが温まる前に停止する。
  • ハイブリッド車・・・バッテリーで走行する間は、エンジンが停止している。
  • アイドリングストップ車・・・信号待ちなどの止まった状態でエンジンが停止する。

これらに共通することは「一時的にエンジンが止まって冷える」ということです。
エンジンが冷えると、当然エンジンオイルの油温も低くなってしまいます。
つまり、「1.エンジンオイルに含まれる添加剤は温度(油温)の影響を受ける」でも述べたように、オイル性能の低い状態で走行するので、シビアコンディションになります。

3.エンジンオイルの劣化の原因は「水」と「燃料」

  • 「水」の悪影響
    水がオイルに混入すると各部品を錆びさせたり、潤滑性能を低下させたりします。
    ご存じのように、水と油は弾きあいます。
    金属表面にオイルが満たされていれば問題なく潤滑できますが、金属間に水が混入した場合はオイルより格段に潤滑性が低下してしまいます。
  • 「燃料」の悪影響
    どういった車であってもエンジンの構造上、噴射された燃料は少しずつオイルに混入していきます。これを燃料希釈といいます。
    燃料希釈が起こると、粘度低下を引き起こします。
    その結果、潤滑性能が低下して金属表面の摩耗につながります。

オイル交換をしないと故障したり、燃費が悪くなったり、オイルが酸化したりするので交換しないといけないとよく言われます。しかしオイル交換の本来の目的は、この「水」と「燃料」をエンジンの外に出して、エンジンオイルを正しく機能させることです。

オイル交換距離の判断基準

車の使用状況や状態によって、最適なオイル交換距離は変わります。
おおよその判断基準を記載します。

  • 基本の判断基準
    メーカー指定の標準交換時期で交換します。
  • シビアコンディションの場合
    標準交換時期の半分の距離で交換します。

[オイル交換基準の例]

種類標準交換時期シビアコンディション
ガソリン車
(ターボ車を除く)
15,000kmまたは1年7,500kmまたは6カ月
ガソリンターボ車5,000kmまたは6カ月2,500kmまたは3カ月
ディーゼル車5,000kmまたは6カ月2,500kmまたは3カ月

表のようにシビアコンディションの場合は、交換距離がメーカー指定の半分になります。
※以下の条件に1つでも当てはまる場合は、シビアコンディションに該当します。

条件条件の目安
短距離走行の繰り返し1回の走行距離が8km以下の場合(ちょい乗り)
走行距離が多い1年で2万km以上走行する場合
悪路(凸凹道、砂利道、雪道、未舗装路等)運転していて体に衝撃(突き上げ感)を感じる荒れた路面
石をはね上げたり、わだち等により下廻りを当てたりする機会の多い路面
ホコリの多い路面
山道、登降坂路上り下りの走行が多く、ブレーキの使用が多い場合
低速走行が多い場合時速30km以下の場合

その他「アイドリング状態が多い」、「外気温が氷点下での繰り返し走行が多い」があります。

通勤が片道8km以下、近くのスーパーに出かける、県外によく出かける、渋滞が多いなど、様々なパターンでこの条件に当てはまるので、シビアコンディション状態の車はかなり多いです。
こういった理由で多くの車が、メーカー指定の半分でオイル交換を推奨されています。
特に燃料希釈が多い、ちょい乗り、オイル消費をしている車などはより早いオイル交換をおすすめします。

粘度の選定方法

  • 粘度とは
    エンジンオイルの粘り度合いを示す指標のことです。

低温粘度は「0w、5w、10w、15w、20w、25w」があります。
エンジン始動時などの始動性の良さに影響します。
高温粘度は「8、12、16、20、30、40、50、60」があります。
数字が小さいほど燃費は良くなりやすいですが、潤滑に必要な油膜は薄くなります。

  • 基本的な粘度の選定方法
    車種ごとにメーカーの指定粘度が設定されています。
    「適合」「推奨」「スタンダード」「ハイグレード」などの設定がありますが、基本的にはそのどれかに該当している粘度を選びます。
  • 車の状態、オイル特性から考える粘度選定
    メーカーの指定粘度は目安です。
    必ずしも車の現状に合っているとは限りません。
    エンジンの保護を目的とした粘度の選定基準を記載します。
車の状態選定基準理由
オイル消費・漏れ指定粘度から1番手上げる(症状がひどい場合は2番手上げることも可)油膜を厚くして、オイル消費・漏れを防ぐため
過走行8万km走行付近から1番手上げるエンジン部品が摩耗し、クリアランスができるため
低粘度指定車0w-8,12,16指定車でも0w-20以上の粘度にする粘度が低いほど油膜が薄く、摩耗しやすいため
高温・高負荷車種夏は1番手上げる熱ダレしやすいため

※現在、高温粘度が20なら30、30なら40に粘度を上げることを「1番手上げる」と表現しています。

API規格

  • API規格とは
    エンジンオイルの品質規格で、耐熱性や耐摩耗性、省燃費性などの性能基準を設定しています。
    現在は主に[API:SP、API:SN]が流通していますが、安いオイルの場合[API:SM、API:SL]を使用している店舗もあります。
  • API規格の選定方法
    基本的にはメーカーの指定する規格を選びます。
    API:SP規格指定車の中でも特にターボ車は、SN規格以下のオイルを入れるとノッキングなどの不具合が出る事例もあるので、メーカーの指定に従うべきです。
  • API:SP
    SN規格以下との違いは、主に以下の2つです。
    1.タイミングチェーン摩耗防止性能
    2.LSPI対策
    ※LSPI・・・ガソリンエンジンの低速回転・高負荷条件下で燃料混合気が異常着火する現象です。この現象が起こる1つの例としては、エンジンオイルや燃料に含まれる清浄剤などの添加剤が火種になり異常燃焼が起こります。

まとめ

エンジン保護を目的にした場合、メーカー指定のエンジンオイルを入れることは必ずしも最適な選択とは言えません。
走行環境や車の症状、総走行距離などによって、自分の車に最適なエンジンオイルを選択する必要があります。
また、走行環境や予算等に応じて「エンジンオイル添加剤」を利用することもおすすめです。
エンジンオイル添加剤については別の記事でまとめていますので、参考にしてください。

エンジンオイルだけでは不十分!?効果的な添加剤の使用方法

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こちらも別の記事にまとめていますので、興味のある方はご覧ください。

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